「昼礼」で何が変わった?みんなの仕事の「見える化」と「効率化」

昼礼導入のきっかけ

みなさん「朝礼」と聞くとどんなイメージが浮かびますか?

朝みんなで顔を合わせて、休んでいる人の確認をして、雑談に終わっているところもあるのではないでしょうか。

中には、朝礼が終わって実働へのエンジンがかかるまでかなりの時間を要し、気付くと1時間も過ぎてしまっていて、慌てて「もうこんな時間…」「さて、今日は何をするんだっけ?」という人も少なくないかもしれません。

「何となく慣習的に、ズルズルと…」という状況を改善しようと最近は、朝礼から「昼礼」や「夕礼」に切り替えているところもあると聞きます。

「夕礼」を導入している企業では、その日にやるべきタスクが終えられているかをチェックし、終えられていない場合、その原因をみんなで考え、対策を行うというところもあるようです。

弊社では、令和元年から「昼礼」を導入。お客さまから「なぜお昼に?」と尋ねられることもあります。ここで昼礼を始めた経緯や導入してから少しずつ見えてきた効果をご紹介したいと思います。

社長交代を機に導入

もともと、前社長の代までは朝礼を行っていたのですが、令和1年、現社長に交代したタイミングで「昼礼」を取り入れました。もちろん、これまで通り朝礼は行っていますが、出勤確認程度の簡単なものです。

社長が「昼礼を始めよう!」と提案した理由の一つに、前職での経験があったようです。

大手ゼネコンで働いていた時代、既に昼礼が取り入れられていて、部内全体で翌日のスケジュールまで把握できていたことで、仕事の段取りがスムーズに運び、急な業務変更などにも効率よく対応できていたそうです。

「現場に来て、今日は何をする?」という指示待ちの姿勢ではなく、翌日までの仕事を一人一人が自ら考えて業務に就くこと。そして、仕事の効率化を図ることで会社全体のモチベーションをアップし、生産効率を上げる。何より、楽しく、質の良い仕事をしていこうという社長の期待からの提案でした。

大商木材の「昼礼」ではどんなことをするの?

「昼礼」の司会進行は、休暇や納品など業務内容によってはその時間参加できないこともあるので、基本的に1週間交代で2人の担当制にしています。

毎日11時40分になると、社長をはじめ、総務、工場などすべての部署からスタッフが事務室に集まってきます。

木材加工という危険を伴う業種だけに毎日の安全確認はもちろん、一人一人が今日の作業と翌日の予定までを知らせ、全員でそれぞれの業務を共有します。

全部署のスタッフが顔を合わせる時間を有効に使い、その日の作業について先輩からアドバイスをしたり、備品購入など工場から総務へのお願い事や休暇日程の共有などもこのときに行います。昼礼の時間は、大切な「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」の時間になっています。

「昼礼」導入のメリットは?

昼礼の導入は、朝行っていたことを単に昼に時間移行しただけではありません。

3年の実践を通して見えてきたメリットは、

メリット① 仕事の効率化

朝から「今日は何をしようか」と考える無駄な時間がなく、始業と同時にその日の仕事に全力投球できる。結果、仕事の効率が上がっている。

メリット② みんなの仕事の見える化

翌日までのみんなの動き(作業の流れ)が分かるので、仕事の段取りがスムーズに進む。また頼み事や相談するタイミングが分かり、声が掛けやすい。

メリット③ 時間の有効活用

朝からその日の仕事を決めていると、スタートするまでの段取りや準備に時間を要するが、翌日の仕事までを前日の昼礼で共有しているため、始業する前の通勤時間も段取りを考えるなど、時間の有効活用ができるようになった。

メリット④ 他部署間の情報共有

毎日1回は顔を合わせるため、他部署間の情報共有ができる。そのため「次に会ったときにお願いしよう」など業務の先送りがなくなった。業務の先送りがなくなったことで“待ち”の時間が省け、業務の回転率が向上。例えば、発注から納品まで期間が掛かる備品購入などもスムーズに運ぶようになった。

メリット⑤ 有給休暇取得の促進

先の仕事の段取りや休暇日を全社員が把握できるので、自身の仕事の組み立てがしやすくなり、結果、休みを取りやすくなった。このことが有給休暇の取得促進につながっている。

メリット⑥ 仕事のON・OFFにメリハリ

業務時間内の段取りがスムーズに進むため、仕事のONとOFFの切り替えが明確。メリハリを持って働ける。

メリット⑦ 受動的参加から能動的参加へ

担当制のため、誰かが進行してくれるという受動的な参加ではなく、全員が自分ごととして能動的に参加する姿勢が確立されつつある。

メリット⑧ 発言の訓練に

発言すること、自分の意見をまとめる訓練になっている。

昼礼の導入によって、業務の効率化ができてきていることは、引いては生産性、利益の向上につながるものです。加えて時間の無駄を省くことで、業務の上での無理なスケジュール設定の回避にもなります。これは、危険を伴う現場を持つ弊社では、とても大切なことです。

この積み重ねは、会社全体の成長に直結し、ここで働く私たちの労働時間の削減、モチベーションアップにもつながるものだと思います。

業務効率化で生産性を上げ、業務時間を短縮することで、必要のない残業を減らす。

そこで生まれた時間を、家族との時間に当てたり、自分のスキルアップのための勉強会に参加したり、資格取得を目指すのもいいでしょう。また仲間とのコミュニケーション、ストレス解消のためのジム通いなど、なんでもよいのです。いつもと違う環境に身を置いたり、違う業種の人と交流したりすることで、思いも寄らぬ情報を得たり、自己啓発につながったりすることがあります。これらを日ごろの業務や家庭の中に還元することで、仕事と家庭の調和がとれ、両者に「Win+Win」な相乗効果をもたらすのだと思います。「働き方改革」に示されているワークライフバランスを考える上でも、私たちが大切にしていきたいと思っていることの一つです。

こんなふうに変えていきたい! 大商木材の昼礼

今回ご紹介した弊社の昼礼。まだまだ改善点はたくさんあると思います。

大切なのは「昼礼」に限らず、今自分たちが行っていることの「目的はどこにあるのか」を、一人一人が熟慮し、それがもたらす先のことまで思いを巡らせる心持ちだと思うのです。

これは、日ごろ私たちが目指している「プロとしての先を見越した提案」にも通じるものです。「昼礼」は、もしかしたら私たちの業務に必要なことの訓練の場になっているのかもしれません。

改善すべきところがあれば、どんどん声を挙げ、良い方向に転換していけばいいのです。

入社して間もない社員にも、今以上「昼礼」を活用してもらい、ここでいろいろな情報を共有・発信し、先輩の意見や経験を吸収できる場にしていきたいと思っています。

今後の昼礼では、

1.遠慮せず、共有したい情報をテーブルにあげていく

2.報告、連絡、相談に加え、ディスカッションできる場にする

3.喜びの声やクレームなど、お客さまの声は全員で共有し業務に生かす

4.昼礼の仕組みは進化系。どんどんよいと思う方向に改善していく

5.みんなが参加できる楽しいイベントも考えていく

ことを意識しながら、なぜ昼礼を行っているのか、全社員がもう一度認識を新たにし、さらに実りある時間にしていきたいと思っています。