新たに特殊加工機「FZR-6」を導入!オートメーション化される新ライン

設備入替えのきっかけ

2022年9月、弊社に待ちに待った特殊加工ができる新機種「FZR-6」が導入されました。

以前の工場をご存じの方は驚かれると思いますが、工場内の配置、雰囲気もガラリと変わりました。

ここから今後、どのような製品を作り、皆さまのところに届けていくのかー。私たちの仕事の流れをどうレベルアップしていくのかー。

考えていかなくてはならない課題も山積していますが、新しい機械導入により、私たちの仕事に対するモチベーションはぐんぐん高まっています。働いている表情や新しいことを学びたいという姿勢、何気ない会話の中からも、みんなのワクワク感が伝わってきます。

弊社ではもともと平成6年よりプレカットの機械を導入するなど設備のバージョンアップを図ってきました。しかし月日の流れとともに、毎日動いている機械も老朽化し、少しずつ経年劣化による補修が必要になってきます。

そのような中、ここ数年はコロナ禍によるメーカーの倒産などもあり、木材加工機の部品が調達できない状況が見えてきました。このままでは機械が動かせないことになりかねません。

そこでこの機会に工場内の機器を再度見直し、時代の流れとお客さまのニーズに合った商品を提案できる機器を導入し事業拡大を目指していこうと、国の省エネ補助金を申請。採択していただいたことで、今回の新機種導入に踏み切りました。

新しい機器の導入は時代に打ち勝つひとつの契機です。確実にそして着実に、私たち大商木材の新たな躍進につなげていきたいと思っています。

これまでの設備とどう違う?

これまでは、大きく分けると「横架材加工機」と「柱加工機」があり、特殊加工はすべて大工さんによる手作業でした。それぞれの機械や人が単独に動いていたことになります。

特殊加工機「FXR-6」(五軸加工機)の導入で、これらをオートメーション化することによりCADに組み込まれた情報を基に一貫して行うことができるようになりました。

これまでの大工の手作業による複雑な特殊加工、例えば3次元空間の加工なども機械に読み込まれたデータを基に自動で進めていきます。

特に特殊加工においては、この機械には20本のドリルを一度に搭載でき、CADの図面情報を基に自動で必要なドリルを選択し加工を施していきます。

新機種導入のメリットは?

この機械の導入によってどのようなメリットがあるのかというと、

<メリット1> 10メートルの長物加工が可能に

これまで難しかった10メートルの長物の加工に対応できます。集成材であれば、柱のない大空間の建物に対応できます。

ここで、「全部機械がやってくれるなら、人の力は以前より必要なくなるのでは?」と素朴な疑問が湧いてくる人も多いのではないかと思います。

<メリット2> 作業の効率化

確かにオートメーション化により作業効率は格段に向上します。

「おそらく1日かかっていた仕事が半日でできるなど、時間的な短縮も可能になると思います」(工場長)

それぞれの機械に1人~2人を配置していたことを考えると、一貫加工ができる機械の導入により大幅に人員削減できます。しかし「機械がやってくれるから自分たちの作業が楽になる」という考えの社員は一人もいません。社員の目は、既にその先を見ています。

機械オペレーションを担う職員と工場長(写真右)

<メリット3> 新たなマンパワーの創出

これまでの自分たちの作業の一部分を機械が補ってくれるのであれば、自分が新たな他のことに掛かれる時間が抽出できるわけです。「導入した機械の使い方を覚え、休ませることなくフル稼働させながら、自分の力をいかに生かしていけるか、その仕組み作りを早急に整えていかなくてはなりません」と工場長は気持ちを引き締めます。

新機種導入+αの相乗効果

新機種導入にあたっては、機械の機能を最大限に活用した木材加工の提案に加え、工場内の作業ローテーション、それを使いこなせる社員の育成、工場内のシフト体制(人員配置)の見直しなど、いろいろな課題があります。

しかしこの作業こそが、ハード、ソフトの両面から既存の事業を超えて一歩を踏み出す契機とり、これまで培った弊社の経験と技術を生かせる場になるのだと思います。

<機器納入業者談>

「FXR-6」を導入されたことで、これまでの時間的拘束など作業効率は格段にアップするはずです。ただ、木材はすべてが同じ条件で育っているものではなく、木の曲がりなど実際の目で確かめる経験が必要なのはこれまでと変わりありません。

機械が日進月歩で進化する中でも、人の力がどうしても必要な部分があります。そこに最終的に経験豊かな大工さんの目と技術が入ることで品質を担保でき、商品としてプラスαの相乗効果が見込めるのだと思います。

新ラインの編成で何が変わる?

今回の新機種導入においては、最初にお伝えした「工場内の見た目の変化」は実は、工場内の機能性を重視した配置転換により実現したものです。

これにはまずここで働くスタッフ全員にヒアリングを行いました。

今の配置で不便に感じること、作業効率が上がり使いやすい配置など、「使う人」「そこで働く人」の意見を基に、工場内のレイアウトを再構築しました。

新たな工場内は、作業によるゾーン分けをし、無駄な動線をなくすようレイアウトされています。長年使ってきた工場内のレイアウトをガラリと変えるには、かなりの時間と労力を要しましたが、新たな仕事場を自分たちで作るという意気込みと一体感が全社員に生まれ、会社全体のチーム力が高まったように感じます。

今回工場内をシンプルかつ機能的なレイアウトにしたことで、見通しの良さなども含め安全面の確保もさらに向上し、よりよい環境整備につながったと思います。

また販売面からは、これまで難しかった10メートルの特殊加工に対応できる体制を整えたことで、スーパーや量販店など、小規模商業施設で木造建築を希望されるお客さまにも販路を広げ、弊社の木材を使っていただくご提案をしていきたいと考えています。

省エネ達成へ向けた芽を育む

今回の新機種導入においては国の省エネ補助金を利用させていただいていることから、これからいかに成果を上げ、電力エネルギーのみならず、事業全体のさまざまな側面から実質的な省エネにつなげていけるかが大きなカギになってくると思います。

これは弊社だけの問題ではなく、持続可能な社会の構築に向けたSDGs(持続可能な開発目標)推進の観点からも、未来を創造する一企業として主体的に取り組むべき課題であると思っています。

機械導入後の新たな体制づくりを進めながら、質の高い、お客さまのニーズに沿った製品を提供し、新たな提案の幅を広げつつ、いかに実質的な売り上げと省エネを達成していけるのかー。これからその成果を細かく検証していかなければなりません。

この検証に際しては、社員一人一人の省エネに対する意識の向け方や新たな役割をどう日々の作業に落とし込んでいけるかで、大きな違いが出てくると思います。小さな積み重ねではありますが、この一歩が弊社のこれからの事業においても、将来につながる新たな芽を育むと信じ、社員一丸となって進んでいきたいと思います。