意外と知らない木材加工の裏側~商品が出荷されるまで

私たちの暮らしを支える、さまざまな木造建造物。完成した建物のすばらしさに感嘆の声を上げることは多いのですが、その建物の材料となっている木材が、どのような人たちによって、どのような工程を経て作られているのかを知る人は、もしかしたら少ないかもしれません。今回はそんな、木材が出荷されるまでの裏側を紹介してみたいと思います。

材料が届くまで~「木」が「木材」になるまで

例えば、皆さんが木の香りに包まれる木造の家を建てるとしたら…。その家の材料となる木は、どのような工程を経て現場まで運ばれてくるのでしょうかー。

まず、山に植林された苗木が伐採されるまでには、50年以上の月日が必要です。大きなものになると100年近く育てられる木もあります。農作物であれば、種を蒔いて数カ月で収穫する作物がほとんどだと思いますが、木は長い年月をかけて育てられます。しかもその間、放置しているのではなく、より加工に適した良質な木にするために、余分な枝を切り落とす枝打ちや間引く間伐など、多くの人の手が入り育てられます。 育った木は、伐採業者により切り出され、使いやすい大きさ(長さ)に切りそろえられます。これが皆さんの良く知る丸太となり、製材所に運ばれるのです。

製材所に運ばれた木は、長さや形を整えられて木材市場に納入されます。木材市場を通して、弊社のような木材加工業者に届くというわけです。

もちろん、集成材などに使用する外材などは、市場を通さず直接商社などから購入する場合もありますが、この流れが一般的です。

材料が届いてから ~木材を加工して出荷するまで

ここからは、弊社に届いた木材をどのようにプレカットし、独自の木材商品として出荷するのかを紹介したいと思います。

1 見積もり(ハウスメーカーや工務店)

まずは、工務店やハウスメーカーから見積もり依頼が来たら、CADで建物全体に必要な材料を概算し、プレカットの見積もりを作成します。依頼業者と営業担当者からできるだけ多くの情報を集め、設計図がない中でも作りたいものとの誤差を最小限に抑えた見積もりを作ることが重要です。

2 契約

内容が確定したら本契約に進めます。家づくりと一口に言っても、とても時間のかかるものです。どのようにお客様の思い描く家の完成形につなげていくかを一緒に考えていくスタートラインとも言えます。

3 材料調達

本契約締結後、木材市場などから建物に必要な木材を調達します。建築現場で必要となる木材の量やどのような素材の木にするかなどに合わせて、材料となる木材を仕入れます。

4 設計

工務店やハウスメーカーからいただいた建物の図面に合わせて、CADでプレカット用の設計を行います。情報をすべてデータ化することで、平面図だったものが、立体的になり建物の輪郭が見えてきます。

5 木材加工

CADで製作された設計図に沿って、オペレーターがプレカットを行います。従来は、大工による手作業で行っていましたが、今は全てオートメーション化され、機械による自動製材加工が行われます。

新しい機械の導入で、これまでは大工により1カ月かかっていた作業が2~3日で完了するようになりました。柱や合板など種類により加工機が異なるため、いかに効率よく機械繰りを行い稼働させるかが重要となります。

※大商木材の新機種導入によるプレカットの情報は下記からご覧いただけます

6 検品・梱包・納品

一般住宅で、約200~300本の横架材(梁など、軸組構法に用いられる水平方向に架け渡される材料)と約100~150本の柱材があり、それらがCADの設計図通りにカットされているか1本ずつ点検します。

点検後は、屋根裏、1階、2階など場所ごとに分けてビニール材で梱包し、いよいよ納品です。建て方の現場で荷をほどきやすいように、梱包にも経験から生まれたノウハウを生かしています。

7 羽柄材の製造・検品・納品

構造材の納品が済むと、次は羽柄材(間柱や壁、床など横架材以外の木材)の製造を行い、順次納品します。

「木材」が「商品」となるために

山で育った木が、いくつもの過程を経て「材料」、そして「商品」となり建築現場に届けられるまでの過程、ご覧いただけましたでしょうか。

皆さまの近くにある建物の土台となる木材は、木本来の心落ち着く風合いや香り、肌触りなどを最大限に生かすために、数多くの人の手が加わり、長い年月を経て建築現場に運ばれてきます。

そして、私たちが加工した木材を使って、皆さま方の家が建物として形作られていくのです。家を建てる建築現場で完成までの過程を見ることがあっても、その前の材料がどのような人たちによって作られ、運ばれてきているのかは知る由もありません。今回、木材加工までの裏側をご紹介したことで、これまでとは違った想いで自分たちの住んでいる(住もうとしている)家を見ていただけるのではないかと思います。

私たちのプレカットの技術も経験を重ねるごとに日々進化しており、安心・安全な木造建築の材料として、さまざまなご提案に応えるべく努力を重ねています。

そして、その経験を通して、品質を高め、提案の幅をさらに広げていくことが、商品としての価値に加え、会社としての価値も高めていくのだと思っています。

最終的なお客様の笑顔につながる仕事―。そのためにできることを続けていきます。